幼児教育は生涯教育
心身融合の教育は幼児期からという認識ではなく、あくまで生涯教育として捉えられなければ意味がありません。幼児教育の現場は、圧倒的多数の独身女性職員によって日々保育が行われていますし、しかも彼女たちは近い将来母親となる可能性を秘めた人たちです。
どうしても幼児教育と同時進行で、先生の「たたずまい教育」を強力に推し進めなければ、理想の幼児教育・生涯教育は不可能であると断じ、強力な特別研修システムの下に、先生の基盤教育を続けております。
園と家庭との一体教育(社会の子)
たくましい体・ゆたかな情操・すぐれた知能を併せ持つ、生き生きとした子どもを育てようとすれば、園における「たたずまい教育」と、家庭における「愛としつけの教育」が不可分一体で、大河のごとく悠久不変に続けられなければなりません。
新時代の幼児教育は、園と家庭が強力に一体化し、成長過程についての緻密な情報や、指導技術の交流を丹念に積み重ねていかなければならないと考えております。
子どもは「社会の子」という大局的な捉え方の下で、立体教育を行っていきましょう。
音体指導の進めかた
音体指導は、「たくましい体」「ゆたかな情操」「すぐれた知能」を兼ね備え、生き生きとした人間性豊かな子どもを育てることこそが、究極の目的であります。
このような基本情報を踏まえた上で、用意周到なカリキュラム=実践プログラムを組んでいきます。さらには3~4歳児(保育園では未満児教育をも含め)からの継続的な積み重ねを重視し(音体基礎指導)、その結果として各種行事における発表の舞台で花開かせるといった営みに重点をおき指導を進めます。指導を導入する前段階として、音体教育の「心構え」を子ども達にしっかり伝えていきます。さらに、現場で携わる職員も実践にあたっての強固な意思とチームワークを整え、総合的な指導環境を整えていくサポートをおこないます。
身を律する美しい姿勢・知性を高める姿勢
全日本幼児教育連盟では半世紀にわたり、北海道から沖縄まで年間ベースで5,000箇所以上の幼稚園・保育園、各種学校で現場指導を続けてきましたが、正しい姿勢、美しい歩き方の教育をおこなっていたのは、僅か5%に過ぎず、あとはそれほど重視していない現状でした。しかし、満1歳になって、やっと歩行に成功した途端に、子どもは正しく歩くことができるわけではありません。
特に最近は、幼稚園・保育園への入園時に、38%~45%の幼児が猫背・ガニマタと言われています。それが一過性のものであるにせよ、体と精神構造が同時進行でゆがんでしまう前に、幼児期から美しい姿勢・知性を高める姿勢を身に着けていくことは、子どもの生涯にとって大きな財産となります。
発達段階に応じて、音体基礎指導の中で幼児期に最も適した美しい座姿・立姿の指導をおこないます。腰に対する上半身の保ち方、バランスの取り方、目線の捉え方については、特によく訓練をおこないます。訓練の開始は満2歳からおこなっております。
美しい姿勢・知性を高める姿勢を訓練することで、バランス感覚訓練や外からの刺激に即時反応できる感覚を養います。さらに、座姿・立姿の基礎が整ったら、次は美しい歩きかたに入ります。保育現場では、「スイスイ歩き」等の分かりやすい表現で指導しているが、そのような歩行トレーニングを十分に実践したうえで、先の応用的な更新のパフォーマンスを(必要に応じて)盛り込むことが肝要です。
美しい発声・発音・体語(言語教育)
音体教育法では、正しい姿勢をつくることが基盤であると共に、リズムあそびや音体マスゲーム、美しい言語教育、それに加えて、吹奏楽器の一つである鍵盤ハーモニカの必須指導をおこなっていきますので、その一環として腹式呼吸法を音体教育の中でしっかりと身につけていきます。さらに、幼児教育の中では、言語を知能教育の領域として捉え、「話し言葉」と「体語」の教育を一元的に扱うようにしています。美しい明瞭な発音・発声ができるように、無理のない美しい声の出し方を教え、同時に体語教育に入ります。
例えば、挨拶は爽やかな正しい発音・発声と美しい爽やかな表情とおじぎという動作が伴うことです。「幼児なので舌が回らないから教えない」などと言わずに、幼児期にこそ正しい発音と言葉の持つ意味を身体全体で覚えさせるのが言語教育であると考えています。
詩と音楽と瞑想
全日本幼児教育連盟は美しい姿勢、腹式呼吸法、言語の総合的な実践として、声優として一世を風靡した小鳩くるみさん、詩人の大家として名高い谷川俊太郎さんに協力をいただき、歌と音楽と瞑想の時間を設けています。静かに流れる音楽に合わせて美しく朗読される詩を聞きながら、姿勢を整え、呼吸を整えることで脳にアルファー波を現出させ、イマジネーションを高めていきます。
これまで多くの幼稚園・保育園で大きな成果を収めています。
音体教育と感覚訓練
音体教育は感覚訓練によって幼児の総合的資質を引き出す人間教育です。
感覚教育は、心身融合による触覚・聴覚・視覚・筋肉感覚への刺激→反応(表出)→観察(データ)→次段階刺激という、発達心理学に基づく手順を積み上げていく教育です。
音体教育と障害児
全国各地の保育現場では障がいを抱えた子ども達を積極的に受け入れる傾向が見られるようになってきた。
連盟か過去の経験の上から、そうした心身の不自由な子と健常児の適切な集団構成が、幼児教育にとって誠に有益と考え、各園との緊密な連携の下に、この指導研究(療育法)に積極的に取り組んでいる。
こうした心身の不自由な子と健常児との集団構成社会は、実は、まさに理想郷と言える。
何故なら、子どもの社会には利益に根ざしたかけひきや計算もないし、地位や名誉も全く介在しない。
この社会は、先生を除けば、心身の不自由な子と健常児の共生社会である。